世には無数の成功哲学や自己啓発、ビジネス書に関する書物が出版されています。
だいたい本屋さんの一番目立つところに平積みされているのが話題の新刊本と、このたぐいの本です。
そしてその多くが、人間関係のうまいやり方、自己表現方法、念ずるだけで成功する、プラス思考、などのテクニックや手法、戦略、スキルを重視した応急措置的な手法を説明しているに過ぎないものだったりします。
私も相当数読みあさりました。
でも、私たちが人生を歩んでいく上で、もっとも必要なものは、うわべの症状に対応するための鎮痛剤でもバンドエイドでもないはずです。それは一時的な対応に過ぎず、長期的、根本的な問題を解決するものとはなり得ないのです。
中村天風著『運命を拓く』には以下の文章があります。
所詮、人生は心一つの置きどころ。人間の心で行う思い方、考え方が、人生の一切を良くもし、悪くもする、というのが人生支配の根本原則である。自然の法則は、まことに峻厳侵(おか)すべからず。
その人の表面に現れる言葉の表現や態度などは、すべて心から創られるものなのです。
もちろん、テクニックやスキル、戦略、プラス思考なども必要でないわけではないですが、それは一次的なものではなく、あくまでも二次的なものだということを確認しておかなければなりません。
以下、『7つの習慣』より
自分の人格に基本的な欠陥、二面性、あるいは不誠実さを持ちながら、テクニックや手法だけで人を動かしたり、仕事をさせたり、士気を高めようとしたりすれば、長期において成功することはできない。いずれは、その二面性によって相手に不信感が生まれるからである。いくら人間関係を改善させるテクニックを使ったとしても、それはすべて相手を操ろうとしている行動にしか見えない。信頼という土台がなければ、永続的に成功することがあり得ない。基礎となる人格の良さがあってはじめて、テクニックが生きてくるのだ。
真の成功を得るための人生哲学の真髄は「心を強くし、人格を磨くこと」これに尽きると言っても過言ではありません。
このような生き方を「人格主義」と呼びます。
さて、では「人格」とはなんでしょう。
ブライアン・トレーシー著『ゴール』に人格についておもしろい表現がありましたので、引用してみます。
人の内面は、外面に現れます。人格の核の部分にあたるのが価値観です。価値観が、その人がどんな人間かを決めるのです。行動となって外面に現れることはすべて、内面にある価値観が決定しています。
人格とは、中心の重なった複数の輪のようなものです。人格は五つの輪からなり、中央にあるのが「価値観」の輪です。その外側にあるのは、「信条」です。
自分自身や、周囲の世界についての信条を決めるのは価値観です。愛情や情けや寛容さといったプラスの価値観をもっていれば、自分のまわりの人にそうしたものを与えることを信条とするようになります。
そして信条は、人格における三番目の輪を決定します。それは「想定」です。プラスの価値観をもっている人は、自分のことを良い人間だと信じるようになります。そう信じている人は、自分に良いことが起こると自然と想定します。そして、良いことが起こると想定していれば、前向きで、朗らかで、未来志向の人間になり、他人や状況のなかに良い部分を見いだそうとするようになるのです。
四番目の輪は「姿勢」です。姿勢は、価値観、信条、想定が表出されたものです。たとえば、この世は素晴らしいという価値観をもっていれば、自分は成功すると信じるようになり、自分に起こるすべての出来事は何らかの意味で自分を助けてくれるものだと想定するようになります。その結果、他人に対して前向きな姿勢で接するようになり、相手も同じ姿勢を帰してくれるようになるのです。あなたは朗らかで楽観的になるでしょう。そんなあなたとは、誰もが一緒に仕事をしたい、あなたから何かを買いたい、あなたが成功する手助けをしたいと思うようになるのです。前向きな姿勢で人生を歩めば成功はおのずとついてくるわけです。
五番目の輪は「行動」です。行動こそ、内面にある価値観、信条、想定が最も反映されるものです。つまり、心の中で起こっていることこそ、他のどんな要素よりも、人が何を成し遂げるかを大きく左右するのです。
「あの人は人格者だなぁ」という時、その人の生き方そのものを見てそう評価します。
明確な価値観を源ととしてしっかりとした信条(個人の憲法のようなもの)を持ち、それがいい想定を生み出し、姿勢となって行動を促す。これがまさに人格です。
人それぞれ、価値観が違いますが、しっかりとした中心軸(=明確な価値観)をもった人はぶれません。
自分をしっかり認識し(自覚)、価値観を明確にするということはとっても重要なことです。
しかもそれを書き出し、毎日幾度となく眺めたり書いたりするだけで、ぶれない軸になってきます。
もちろん人の心は成長するので、より良い価値観をみつければどんどん改良していくことも大切です。
さて「インサイド・アウト(内から外へ)」という言葉があります。
以下『7つの習慣』から引用
インサイド・アウトとは、自分自身の内面(インサイド)を変えることから始めるということであり、自分自身の根本的なパラダイム、人格、動機などを変えることから始めるということである。
このアプローチによれば、あなたがもし幸せな結婚生活を送りたければ、積極的なエネルギーを生み出し、消極的なエネルギーを消し去る伴侶になるということである。
子供が、明るく協調性のある人間に育ってほしいと思うならば、子供への理解を深め、子供の視点に立ち、一貫した愛を示す親になるということである。
仕事で自由な裁量が欲しければ、より重い責任を引き受け、力を尽くし、貢献できる従業員になるということである。
信頼されたければ、信頼性のある人になるということである。
才能が認められるという二次的な成功が欲しければ、まず人格と能力を向上させるという一次的な成功に焦点を合わせることである。
インサイド・アウトの考え方では、私的成功が公的成功に先立つ。つまり、他人に対して約束をし、それを守る前に、まず自分自身に約束をし、それを守らなければならないということなのだ。また、人格よりも個性を優先することは愚かなことであり、自分自身を改善しようとせずにほかの人との関係を改善しようとすることは意味のないことだと教えている。
インサイド・アウトは、人間の成長と発展を左右する自然の原則に基づいた、継続的な最新再生のプロセスである。それは上向きの螺旋状に成長していく循環であり、次第に高まっていく責任感ある自立と効果的な相互依存に導くものである。
考えてみてください。
上記のような人格者だけが集まった満員電車で、いざこざやけんかが生じるでしょうか。
全世界の大人がみな上記のような人格者だったら、児童虐待や戦争が起きるでしょうか。
この世の中を変えていくのは政治でも法律でもインターネットでもありません。
一人ひとりのインサイド(内=心)からなのです。
とかなんとか、
エラそうなことを言ってしまいましたが、すべての内容を私自身に言い聞かせつつ、今日もまた粛々と生きていきたいと思っております。
偉そうなことない!その通り!感動した!
匿名さん
ありがとうございます。
言葉って大事ですね。
そして、不思議ですね。
頭の中にあるものをブログの形にしたり、人に話すことで、それ自体が自分自身の教訓になり、価値観になり最終的に行動となって現れてくるのですから。。
今後も自分に言い聞かせるつもりで、書いていきたいと思っておりますので、時たま覗いてみてください。
成功哲学、自己啓発の書物って多いですね。興味のない時は全く見向きもしませんでしたが、今は「これを10代で読んでいたら・・・20代で考えていたら・・・」と思ったりもしますが、きっと書物も「出会いに時あり」なのでしょうね。
最近、ある人から「書上練磨ばかりしてますね」と言われました。本を読んで知識を増やしたり考えてばかりいないで、もっと動いて体験していきなさいという意味なんだと思います。本から得たことを実際の生活に生かさなければ・・と感じるこの頃です。物忘れもひどいので読んだ内容もどんどん忘れていくのですが(^^)
そこなんですよね。
本ばかり読んで、栄養はたくさんとるんだけど、それを行動というエネルギー変換しながら、燃焼させていかないと、自分の血や肉、骨となっていかないんですよね。
私も、以前はそうでした。
一冊読めば、もう自分が成功したような気になる。
ひどいときは書籍を買っただけで、読んでもいないのに、人格やスキルがアップしたような気になる。
でも、しばらくすると、実際は全く変わらない自分に気付き、挙げ句の果てに自己嫌悪に陥る。。。
なんてことを繰り返した時期がありました。
それからというもの、何しろ行動に移す。やってみる。
をやってみたら、やはり前に進み始めたんです。
感動だけじゃダメ、行動しなきゃ!
ってことですよね。
そして、自分の核である価値観を堅固なものにしていくことによって、スキルなんてなくても、その人の人格から沸き出でる行動そのものとして現れてくるものなんですよね。
インプットとアウトプットを繰り返しながら自分を生み変えていくことこそが人格主義ではないのかなと考える今日この頃です。
スティーブン・R・コヴィーのパクリじゃないか。
匿名(220.108.104.165)さん、
コメントありがとうございます。
そうですね。パクリというか、スティーブン・R・コヴィー氏の『7つの習慣』や他の書籍から感銘を受けたところをきちっと書籍名を表記し、引用しながら、掲載しております。
そこに私なりの言葉を添えているという、ただそれだけです。
私にとっての「良いとこ取りの人生哲学」ですから。