朝は朝星、夜は夜星、昼は梅干しいただいて
これは、私が小さい頃、母親からよく聞いた句です。
四国の田舎暮らしの我が家は、当時は完全な農家で、竹の子山と野菜やお米を作る田畑があり、私が小学2年生くらいまでは、乳牛も20頭くらいいました。
牛の乳搾りは朝が早く、両親はいつも暗いうちからせっせと仕事をしていたのを思い出します。
春の竹の子掘りの時期になると、これまた大変です。
山の斜面を上り下りしながらする竹の子掘りは、体に負担をかける重労働です。母は子育ても重なって大変だったと思います。
そんな両親の背中を見て育った私は、高校生くらいまでは竹の子掘りなど、農作業をよく手伝ったものです。
…なので、今でも足の裏だけで、まだ芽を出していない地中の竹の子を見つけられます。
今ではその山と田畑はほとんど人に貸してあり、家庭菜園ができるくらいの規模になってます。
もとお百姓さんのおじいちゃんとおばあちゃんは、季節の野菜が採れるのを楽しみにしながら、孫たちと一緒になって土とたわむれています。
ところで、大人になってから、ひょこっとこの句
「朝は朝星、夜は夜星、昼は梅干しいただいて」
のことを思い出し、母に話を訊いてみました。
この句は、母の亡き父、つまり母方のおじいちゃんがよく言っていたとのこと。
朝はまだ星が出ているうちから農作業に精を出し、昼は質素にご飯と梅干し、そして夜は星が見えるほど暗くなるまで仕事をするということだそうです。
今では経済大国となり、経済的、文化的には豊かになった日本ですが、昔はこれが普通だったんですね。
よく「子は親の背中を見て育つ」と言います。
今と違って、農家や職人、自営業などがほとんどだった昔は、子供が親の仕事をする姿をよく見る機会があったものです。
私などもそういう親の一生懸命働く姿を見て、お金を稼ぐことの大変さやお米の貴重さ、親への尊敬の念を抱きながら育っていったような気がします。
会社勤めの人が多くなった現代社会、子供たちは、親が仕事をする姿を見る機会が昔に比べて極端に少なくなっています。
たとえば、父親が会社でぼろぼろになるまで働いて、満員電車に揺られて帰ってきて、ビール飲んでご飯食べて、あとはゴロゴロしながらTVを観るばかり。
あるいは、同僚と飲んで泥酔状態で帰ってきては子供に向かってガミガミ。
子供たちは自分の親が会社で苦労している姿を知りません。
家でゴロゴロしている姿しか知らないのです。
そんな親に
「いつまでTVを観てんだぁ!」
「ちゃんと勉強しろ!」
なんて言われてもなんの説得力もありません。
会社でストレスを受けて帰ってきた父親は、言うことを聞かない子供に対してますますストレスがたまり、「誰のおかげで養ってもらってると思ってるんだぁ!」なんて言っちゃった日にゃぁ、もう大変です。
単身赴任の私はだいたい一ヶ月に一度の頻度で田舎の自宅に帰っています。
もちろんたまにはゴロゴロすることもありますが、なるべく子供たちと近くの海や山に探検に行ったり、キャッチボールをしたり、日曜大工などをしています。
タイミングが合えば、お彼岸のお墓の掃除なんかにも行ったりします。
それと、本もよく読んでいます。
子供の前で本を読んだり勉強することは絶対にお勧めします。
子供たちは親の姿を一生懸命観察しています
「子供は親の映し鏡」とはよく言ったもので、子供が生まれてから成長する過程で、最初はまっさらなメモリーチップ(潜在意識)の中に、身近にいる親の姿をどんどんインプットしていき、それをまねるようになります。
ゴロゴロしながらダラダラTVを観たり、夫婦げんかをする親の姿をインプットしてしまうのか、それとも読書をしたり、勉強をしたり、夫婦仲良くする姿をインプットするのかで、子供たちへの影響は全く違ったものになるでしょうね。
そして、思春期を迎え、大人への階段を上り始める頃には、言ってることとやってることが違う親への尊敬度や考え方が大きく変わってしまうのは当然ですよね。
ドラマで、不良少年になってしまった息子を捕まえて、「おまえをこんな子に育てた覚えはないっ!」という台詞をよく聞いたことがありますが、自分に覚えはなくても、遠因は必ずその親や環境にあるのです。
朝は朝星、夜は夜星、昼は梅干しいただいて
これは別に「朝から晩まで働け!」という意味の句ではなく、「正しく正直に、そしてひたむきに歩む」という意味が込められています。
これをこのまま実行するのは難しいかも知れないけど、この句を「めちゃめちゃカッコイイ!」と感じる今日この頃です。
私自身あまりエラそうなこと言えません、当然。
でも、子供たちには将来的に、「お父さんは正しく生きた人だ」と言ってもらいたいから、この句を胸に、お父さんは今日も頑張ります!
自己レスです。
「朝は朝星、夜は夜星、昼は梅干しいただいて」の句は、
柳亭痴楽さんの噺(はなし)の中に出てくるそうです。
戦後復興の働きづめの日本人には、面白くも身に染みる言葉だったのでしょうね。
当時、おじいちゃんが竹の子掘りながらラジオで聞いていたのかな。
この句私も聞いたことがあるような気がするなぁ!
私が生まれてからの父は単身赴任だったけれど
帰ったらまき刈りにお墓掃除や地域の当番したり付き合いを大事にしていたし
東京に行く時はパリッとしたスーツ着て
母はいつも家族のことをして一番最後に寝ていたので
働き者の二人の背中を見て育ちました。
尊敬できる両親の元に生まれたことに感謝しています。
子供って親の背中を見てるんだねぇ。
これから親になるので とっても参考になります♪
masaeさん
もうすぐ母親!
子供の誕生と同時に、母親の誕生!
これまた別世界!ある意味サナギから羽化するようなもの。
無事の出産を祈ります。